何故自衛隊をイラクに派遣するのか

「第159通常国会が19日召集された。小泉首相は同日午後、施政方針演説を行った。演説の最大の柱はイラク復興支援。「国際社会の一員としての責任」を強調し、資金支援と人的な貢献を「車の両輪」と位置づけ、自衛隊派遣に理解を求めた。」(Asahi.com2003119日)

 

ここでのロジックは、「自衛隊派遣=国際社会の一員としての責任をはたす」ことである。このロジックを深く検討してみよう。

 

まず「国際社会の一員」だが、仏、独、中国など世界の大国も当然「国際社会の一員」である。今回こうした国がイラクに軍隊を派遣していないので、このロジックではこれらの国は「国際社会の一員としての責任」をはたしていないことになる。

 

しかしながらこうした国はいろいろな場面で国際社会に多大な貢献をしていることは間違いない。とすると「自衛隊派遣=国際社会の一員としての責任をはたす」の因果関係はくずれることになる。

 

「国連加盟191カ国のうち部隊を派遣している国は40に満たない。安保理の5常任理事国のうち、戦争に反対した仏ロ中は、米国主導の占領下だからという理由で積極的な復興協力をしていない。」(Asahi.com 社説 20040211日(水)付)

 

次に「国際社会の一員としての責任をはたす」のが「自衛隊派遣」でないとできないというロジックになっている。

 

しかしこれは本当か?たとえば、国連軍のような形ではだめなのか? 国際紛争を解決していくのは国連を通じて行うのが国際社会のルールと考えてもおかしくない。

 

これに対し、アーミテージ米国務副長官は「日本の安全保障の第一に来るのは国連ではなく日米安保関係だ」と指摘している。

 

[アーミテージ米国務副長官は23日、日本経済新聞社のインタビューに応じ、日本が自衛隊のイラク派遣を決定したことは日米同盟関係を強化すると高く評価した。日本国内には「国連重視」を求める声があるが、「日本の安全保障の第一に来るのは国連ではなく日米安保関係だ」と指摘し、日米関係を最優先するよう求めた。日本がイラクの大幅な債務削減に応じることにも強い期待を示した。](NIKKEI NET 2003/12/25

 

 

こうして考えてみると、「国際社会の一員としての責任をはたす」という衣を着た別な目的が潜んでいるとしてもおかしくない。

 

それは何か?

 

それば日米同盟を遵守するため、他国が協力しなくとも日本が率先して米国に協力することのようである。

 

「小泉純一郎首相は9日夕に記者会見し、「米国は日本にとって唯一の同盟国。その米国がイラクに安定した民主政権を作るため大きな犠牲を払って努力している」と指摘した上で、「日本の平和と安全の確保は1国ではできない。だからこそ日米安保条約を結んでいる。日本も米国にとって信頼に足る同盟国でなければならない」と述べ、自衛隊派遣を決断した背景に米国への配慮があったことを示した。(日経新聞2003129日)

 

つまり、「国際社会の一員としての責任をはたす」ことはあとから付け足したもので、日米同盟を遵守するためであると思われる。

 

そして、この日本の自衛隊派遣を受け、ブッシュ大統領は120日次のように演説をしている。

 

 「ブッシュ米大統領は20日の一般教書演説で、イラクに軍隊を派遣している国として、英国、オーストラリアに続いて3番目に日本の名前を挙げ、イラクの戦後復興作業は十分に国際化していると主張した。 大統領は演説の中で、「イラクでの我々の任務を国際化すべきだと批判する向きがある。こうした批判は、イラクに軍隊を送っている我々の同盟国には理解できないことだろう」として、英国を皮切りに順次、17カ国の

名前を列挙。「さらにほかにも17カ国」として計34カ国が軍隊を派遣していることを強調した。」(朝日新聞2004120日)

 

ここで注目をしていただきたいのは、日本が自衛隊を派遣することで、イラクの復興が国際化したことになっている点である。これは、小泉首相の言う「国際社会の一員としての責任をはたす」のではなく、「米国の同盟国として米国の立場を正当化するため」と考えるのは自然であろう。

 

ここで分かったことは日本政府の国連主義よりも日米同盟を重視する姿勢である。しかしながらこれが日本に取り良いことかどうかは別の議論ではある。

 

皆さんはどう考えますか?

 

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