TPPの定義と参加のメリット

 

出典: 読売新聞 2011109

 

野田首相は、11月にハワイで開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議で、環太平洋経済連携協定(TPP)への交渉参加を表明する意向を固め、関係省庁に参加表明に向けた準備に着手するよう指示した。

 

 複数の政府関係者が8日、明らかにした。APECの加盟国のうち、米国など9か国がTPPの大枠合意を目指して交渉を進めており、首相は、ルール策定段階から日本が関与することが必要だと判断したとみられる。

 

 TPP参加を巡っては、関税が下がることで国内市場が外国産品に席巻されることを懸念し農業団体などが反発している。与党内では農業関係議員らが 議員連盟を結成し参加反対を求める署名活動を行っている。政府内でも、鹿野農相らが交渉参加に慎重な構えを崩していない。首相が今後、政府・与党や関係団 体をどう調整するかが焦点になる。

 

さて、最近TPPという言葉がマスコミで取り上げられることがありますが、皆様はご存知でしょうか?

 

ディベートの基本として、TPPとは何か調べてみましょう。

 

 

TPPとは

出典: 新語時事用語辞典

 

別名:環太平洋経済協定、環太平洋連携協定、環太平洋戦略的経済連携協定、環太平洋パートナーシップ、環太平洋パートナーシップ協定、太平洋間戦略経済連携協定、トランス・パシフィック・パートナーシップ

英語:Trans-Pacific PartnershipTrans-Pacific Strategic Economic Partnership Agreement

 

2006年にAPEC参加国であるニュージーランド、シンガポール、チリ、ブルネイの4ヵ国が発効させた、貿易自由化を目指す経済的枠組み。工業製品や農産品、金融サービスなどをはじめとする、加盟国間で取引される全品目について関税を原則的に100%撤廃しようというもの。2015年をめどに関税全廃を実現するべく協議が行われている。

 

201011月現在、すでに米国、オーストラリア、ペルー、ベトナム、マレーシアの5ヵ国がTPPへ参加、次いでコロンビアやカナダも参加の意向を表明している。

 

 

定義が理解できたところで、何故今TPPの議論が必要なのか見てみましょう。

 

さて、今回は連載ということもあり、TPP参加のメリットから考えてみます。

 

物事を検討する場合、現状を変えるには大きなメリットがないとやる気が出ませんね。

 

とにかく現状を変えるには抵抗勢力と戦わなければなりません。

 

その為には万難を排してもやり遂げるに値する大きなメリット、あるいは大義名分が必要となります。

 

では参加することによってどのような具体的なメリットがあるか見てみましょう。

 

 

経済的メリットについて、経済産業省が試算をしています。

 

出典:包括的経済連携に関する資料(平成221027日)経済産業省試算 

 

FTAAP、TPP等に参加した場合の経済効果

■「FTAAP及び日EUEPA」、「TPP、日中EPA及び日EUEPA」において、全ての参加国が100%関税等を 撤廃して締結した場合:

日本側のセンシティブ分野の国内生産にマイナスの影響が発生する一方、他の分野の国内生産でそれを 上回るプラスの影響。総合すると日本の実質GDPは1.23〜1.62%(≒6.18.0兆円)増加。

 

 

ここで注意したいのは、この試算はTPP単独の経済的メリットではなく、FTA(自由貿易協定)・EPA(経済連携協定)を含む点です。

 

 

TPP参加の是非を判断するには関税撤廃の経済効果だけではないと、三菱UFJリサーチ&コンサルティング 片岡剛士氏は指摘をしています。

 

出典:環太平洋パートナーシップ協定(TPP)はなぜ必要なのか 

 

まず一つ目の理由は、先の第二の点でも見たように、TPPはモノの貿易自由化を含む広範な領域の自由化を含んだものであるという点で す。モノの貿易と合わせて、世界のサービス貿易は大きく拡大しています。特にサービス貿易の自由化がもたらす経済効果は大きいものと考えられます。貿易円滑化や投資ルールといった分野を加味すると更に影響は大きいでしょう。

そして二つ目の理由は、木村教授が述べるように、後に新興国が
TPPに加わった場合に要求される貿易自由化度を設定できるという点です。たとえば中国がTPPに後で加盟する場合に、90%台後半の自由化度を実現する ということになれば、そのことで得られる経済効果は大きなものとなるでしょう。

三つ目の理由としては、
TPPがもたらす貿易創造効果に関 するものです。現状のTPPの枠組みに日本が入った場合、その影響はTPP域内国にまず及びますが、日本企業は東アジアの生産ネットワークの中で事業を行っています。例えば日本からの最終財の輸出が進めば、それは部品を提供する他国からの購入が進むことも意味しますし、米国の輸入が増加すれば日本の輸出 のみならず最終財調達先としての中国の輸出も増えるでしょう。中国の最終財輸出が増えれば、東アジアの生産拠点における資本財や部材の生産も拡大します。 以上のようにFTAは域内国のみならず域外国も含めた間接的効果があります。この間接的効果も合わせて考慮する必要があると考えられます。

 

 

日本が参加すべきだと思う人は61%との世論調査の結果もあります。

 

出典:読売新聞 2010118

 

読売新聞社の全国世論調査で、関税の原則撤廃を目指す環太平洋経済連携協定(TPP)に、日本が参加すべきだと思う人は61%で、「参加すべきでない」18%を大きく上回った。

 

国民の多くはTPP参加を支持しているようだ。党内に反対派を抱える民主党の支持層では、「参加すべきだ」が71%に上った。

 

 

一方参加しない場合のデメリットを考えてみましょう。

 

デメリットは、上記メリットの裏腹な関係が当然考えられますが、経済産業省の試算を紹介したいと思います。

 

 

出典:包括的経済連携に関する資料(平成221027日)経済産業省試算 

 

日本がTPPに不参加のままではEU・中国とのFTAも遅延するとの仮定の下、日本がTP P、EUと中国のFTAいずれも締結せず、韓国が米国・EU・中国とFTAを締結した場合、

 

自動車、電気電子、機械産業の3業種(3市場向け輸出の5割相当)について、2020年 に日本製品が米国・EU・中国で市場シェアを失うことによる関連産業を含めた影響を試 算

⇒ (結果) 実質▲GDP1.53% 、雇用減81.2万人(うち米国市場関連1.88兆円減)

 

 

実は上記の懸念する状況が明白になってきました。

 

つい最近のことですが、今年71日に韓国とEU(欧州連合)の間で、自由貿易協定(FTA)が暫定発効したのです。日本メーカーは、自動車や液晶テレビなどEUに無税で輸出できるようになった韓国メーカーと比べて大きく不利な状態になることが現実となってしまったのです。

 

なお、韓国と米国はFTAに既に署名済みです。

 

 

出典:東洋経済オンライン 韓国・EU間で自由貿易協定(FTA)が発効![前]――日本企業は韓国に流出するか

 

この71日に韓国とEU(欧州連合)の間で、自由貿易協定(FTA)が暫定発効した。一部、今後EU加盟国の締結手続きが必要な事項(知的財産権(刑事執行)および文化協力に関する議定書)を除き、関税を含めほぼすべての品目につき韓国とEUとの間で自由貿易が始まる。

(中略)

EUは小型車、中・大型車ともに10%の関税を課していたが、これがゼロとなることにより、日本メーカーは、EUに無税で輸出できるようになった韓国メーカーと比べて大きく不利な状態になる。

 

 液晶テレビも同様で、韓国からは無税でEUに輸出できるが、日本からの輸出には14%の関税がかかる。これから、ヨーロッパに輸出する製品を作る工場はどんどん有利な国に移って(流出して)いくだろう。

 

 今、政治に声を上げているのは、自由貿易反対派ばかりだ。筆者は、もっと日本の経営者に自由貿易推進の声を上げてもらいたい、と訴えている。そうしなければ、国内の一部の利益を保護するために各国とのFTAEPA交渉が進展せず、日本企業が他国企業に対し不利な立場に取り残され、国内の雇用と日本の競争力がどんどん失われてしまうことになる。

 

 

以上、TPPを推進する側の意見を見ました。

 

 

でも、ここで別の意見も聞いてみる必要があります。

 

賛成側は勿論参加することがどれほど良いかをよく考えているので、説得性がありますが、一方参加すべきでないとする反対側だってきっと十分傾聴に値する理由があるはずです。

 

これがひとりディベートのバランス感覚なのです。

 

次から反対側が指摘する問題点TPPの問題点:農業問題を経済的視点から考えるについて論じてみたいと思います。

 

TPP参加のメリットと問題点を考察する

TPPの定義と参加のメリット

TPPの問題点:農業問題を経済的視点から考える

TPPの問題点:医療問題から考える

TPPと農業問題の本質:野菜の関税は3%でも国産野菜が82%を占めていることは何を意味するのでしょうか?

TPPと農業問題の本質:全国農家数のうち、農産物販売金額が年間50万円以下の農家数は全体の86

Kと言われる農業なのに、何故高年齢化した兼業農家で米作が成立するのか?

 

 

 

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TPPの定義と参加のメリット

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