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前回は、サンデル教授の授業「Justice(正義)」の内容を見てみました。 今回は、何故サンデル教授は対話型の講義を続けているのかを取り上げたいと思います。 始めに当の本人の言葉を引用してみたいと思います。 NHKの番組において、サンデル教授はこの対話型の講義を続けている理由を次のように言っています。 出典:「ハーバード白熱教室 in JAPAN」(2010年8月25日の東大安田講堂での講義) 「学生たちにとって、親しい友人やクラスメイトの千人の前で立ち上がり意見をいうのには、かなりの勇気が必要です。意見をいうだけでなく、何故そう考えるのか議論を展開しなければなりませんし、反論を受ける覚悟も必要です。これができるようになれば、社会に出て民主主義社会の市民になって活躍するとき、大きな力を発揮し、自信につながると思うのです。」 そうです、サンデル教授は「社会に出て民主主義社会の市民になって活躍する」人材を育てたいと考えているのです。 民主主義国家のもとでは、物事は議論や対話を通じて理解され決定されていくのです。 その議論や対話で、大きな力を発揮できる人材をサンデル教授は育てているのだと私は思います。 第1回でとりあげた、大統領選挙のディベートを見ても、こうした考え方は実感できると思います。 一方、米国と同じ民主主義国家である日本ではどうでしょうか? 今年9月にあった民主党代表選の状況を見てみましょう。 出典:民主党ウェブサイト 2010/09/09 代表選挙の立会演説会が9日午後、札幌市内で行われ、平日にもかかわらず演説会開始前から詰めかけた聴衆は1万人以上にのぼり、今後民主党を、そして日本をリードすることになる小沢一郎、菅直人両候補の、熱い訴えに耳を傾けた。 勿論、直接選挙の大統領選と議院内閣制の日本とは状況は異なります。 しかしながら、ここで注目したいのは、日本では「15分を使って演説した」だけなのです。 演説とは、一方的に「大勢の前で自分の意見や主張を述べること(大辞泉による)」です。 また、民主党代表選で投票する議員はどのように投票者をきめたのでしょうか? 出典:産経ニュース 2010.9.9 00:11 「菅の最近の演説は話が堅すぎて人間味、おもしろみに欠ける」。陣営内では、こんな懸念がささやかれていたが、勢いがもう一つ上向かない。 ギラードとの電話会談を終えた菅は、首相官邸で国会議員の陳情を受けた。 相手は、比例代表単独で立候補し衆院議員になった1回生。与野党から比例にしぼった議員定数削減論が出る中、不安に包まれている議員たちを前に菅は「慎重に時間をかけて考えていこうじゃないか」と、比例削減を先送りするかのようなリップサービスをした。 夜には都内の料理屋で菅を支持する衆参1回生議員約30人が開いた会合に参加し、ふれあい戦術を展開。出席議員から政策を提言されると、「熱い思いを感じた。初心にかえってがんばる」と応じ、会場を去る際には議員の一人の両手を握り、「ありがとう。元気になるね、本当に元気になるよね」と力を込めた。 「人間味、おもしろみに欠ける」とされた管代表候補(当時)は、首相官邸で「国会議員の陳情を受け」た後、「夜には都内の料理屋」で「ふれあい戦術を展開」したというのです。 つまり、日本では、表にでない駆け引きや飲み会での「ふれあい」などで、票を獲得したといってもよいのではないでしょうか? ここには残念ながらディベートの考え方は入っていないのです。 日米の差は色々な面から考えられますが、こうしたディベートの有無という切り口も重要ではないでしょうか 昨今の日本が抱える政治・経済・社会問題を考えると、表でもっと問題を議論・対話して良い解決策を考えだしていく力が、日本には欠けているのではないかと、私は危惧する次第です。 今回は、サンデル教授の高い志から日本での状況を考えました。 次回は、日本の教育の問題点を取り上げたいと思います。
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