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事業仕分けの問題点(後編)
事業仕分けの問題点として考えられることは、大きく2つの論点に集約されるかと思います。
第一点:予算編成方針が欠如しているため、長期的展望に立った予算が短期的な成果で判断されてしまう危惧がある。
第二点:仕分け結果の予算への反映が不明確なため、結論はどの程度尊重されるのか、「廃止」を決めても、後から復活するのではないか、という危惧がある。
では、第二点:「仕分け結果の予算への反映が不明確なため、結論はどの程度尊重されるのか、「廃止」を決めても、後から復活するのではないか、という危惧がある」を考えて見ましょう。
前回で取り上げたスパコンをもう一度振り返りましょう。
事業仕分けで「凍結」と判定された「次世代スーパーコンピューターの開発」は、科学者らの強い反発を踏まえ、仕分け結果を転換して、概算要求(268億円)に対して、227億円と41億円の減額で決着しており、「凍結」とは程遠い結果となってしまいました。
百歩譲って、科学技術関連予算は、国家戦略の一環として考えることもできなくはありません
しかしながら、こうした国家戦略といった高度な判断でなく、どちらかといえば、従来からあるような、利権保護ともいえる従来自民党政権にあった予算復活折衝が大きな問題となってきているのです。
ご存知の読者の方もいらっしゃるかと思いますが、こともあろうに事業仕分けの最中に、本来内閣を支えるべき閣僚である、赤松広隆農相や北沢俊美防衛相は、既に仕分けをないがしろにしているとも取りかねない発言をしていたのです。
「「2010年度予算の概算要求の無駄を公開で洗い出す行政刷新会議の「事業仕分け」を巡り、13日の閣議後の記者会見で閣僚から反発の声があがった。
赤松広隆農相は「指摘している人(仕分け人)が分かっていない点もある。基金のあり方をどうするか基準をしっかり決めてほしい」と苦言を呈した。閣議で「基準に従って削るとか残すというなら文句はない」と仙谷由人行政刷新相らに要請したことも明らかにした。
北沢俊美防衛相は「時間が短い。『思いやり予算』は防衛省に任せていただいて進展をみてもらいたい」と指摘。亀井静香郵政・金融担当相は「不要なものを切っていくのは大事だが、ちょっと心配なところはある」と述べた。」(日本経済新聞2009年11月13日)
そうした各方面の政治的な圧力を未然に防ぐかのように、行政刷新会議では、「事業仕分け」で作業グループが判定した約450事業の結果について「最大限、尊重する」ことを決めたと発表しました。
「政府の行政刷新会議(議長・鳩山由紀夫首相)は30日の会合で、2010年度予算の概算要求の無駄を洗い出す「事業仕分け」で作業グループが判定した約 450事業の結果について「最大限、尊重する」ことを決めた。仕分け結果や同会議が決めた予算査定の基本方針を踏まえ財務省が査定を本格化する。
(中略)
同日の会合では、作業グループが先に9日間、公開で議論して判定した「廃止」や「見直し」などの結果を仙谷由人行政刷新相が報告。事業ごとに判定を議論して覆したり、正式決定したりすることはせず、結果の最大限の尊重という形で了承した。行刷相は会合後の記者会見で「事業仕分けと異なる予算措置を行う場合は(査定・要求官庁に)国民が納得する説明責任が課される」と強調した。」 (日本経済新聞2009年11月30日)
こうした行政刷新会議の決定にもかかわらず、残念ながら政府を支えるべき閣僚から仕分け結果を見直す発言が後を絶たちません。
「原口一博総務相も1日、「仕分け結果をそのまま生かす事業は8割」と明言。「(仕分けの前提になった)財務省の事実認定に誤りがある」ものや、NPO(非営利組織)と地域との連携事業などについて仕分け結果の見直しを求める構えだ。自衛隊の人員増要求が「見送り」とされた北沢俊美防衛相も「国防のあり方を説明して理解を得るように努力する」と、巻き返しを図る姿勢を鮮明にした。」(毎日新聞 2009年12月2日)
「長妻昭厚生労働相は2日、行政刷新会議の事業仕分け結果を受けた厚労省の対応方針を発表した。同会議が同省の来年度予算概算要求から3820億円の削減を要求したのに対し、基金の国庫返納などで3280億円分を受け入れることを決めた。しかし、対象となった51事業のうち、診療報酬の配分見直しなど19事業について「対応困難」と判断した。」(毎日新聞 2009年12月3日)
「赤松広隆農相は15日の会見で、10年度予算編成へ向けた事業仕分けで「要求の3分の1を縮減すべきだ」とされた「農業共済掛金国庫負担金」(544億円)について、仕分け結果を受け入れず、全額要求する方針を明らかにした。農業共済は天災による農業被害を農家に補てんする一種の保険制度。掛け金は国と加入農家が折半で負担すると農業災害補償法で決まっているため「仕分け通り縮減することはできない」(赤松農相)という。」(毎日新聞 2009年12月16日)
新政権の支持率は、発足直後の77%から55%と続落しております。
「毎日新聞は19、20日、電話による全国世論調査を実施した。鳩山内閣の支持率は55%で、前回調査 (11月21、22日)より9ポイント下がった。
(中略)
鳩山内閣の支持率は9月、発足直後の調査としては歴代2位の77%を記録したが、その後は下がり続け、3カ月で22ポイントと3分の1近い下落幅となった。不支持率はこれまで微増にとどまっていたが、今回は34%と前回比13ポイントの急増。「支持しない」と答えた人に理由を聞いたところ「指導力に期待できないから」との回答が前回の16%から42%に増えた。支持する理由では「政治のあり方が変わりそうだから」が82%を占め、変革への期待がなお支持率を下支えしていることを示した。」(毎日新聞 2009年12月20日)
国民は事業仕分けに大いに期待をしていることは、毎日新聞が2009年11月24日に実施した全国世論調査で、「事業仕分けについては評価する」が74%に達したことからも明らかです(詳細は事業仕分けの利点(前編)をご覧ください)。
理由は何であれ、新政権を支えるべき閣僚から、事業仕分けをないがしろにするような発言や行動が報道される度に、国民の期待は益々裏切られていくことになるのではないかと、私は危惧しております。
今回は、事業仕分けの問題点(後編)として、第二点:「仕分け結果の予算への反映が不明確なため、結論はどの程度尊重されるのか、「廃止」を決めても、後から復活するのではないか、という危惧がある」を検証いたしました。
次回は、事業仕分けの今後と課題を論じてみたいと考えております。
■「事業仕分け」
応用編2では、事業仕分けと日本航空再建をこのウエブサイトで紹介できなかった内容を掲載して、問題点を深く考察しておりますので、御覧ください。
■「普天間基地問題」 ■「実は自民党政権下でも普天間基地移設を実行できなかった 」 ■「実は米国は普天間基地をグアムに移転する計画だった その2」
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事業仕分けの問題点(後編) |
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