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「福田康夫首相は18日午後、衆院本会議で就任後初の施政方針演説を行った。2008年を「生活者や消費者が主役となる社会」に向けたスタートの年と位置づけ、消費者行政の一元化に向けた「強い権限を持つ新組織」を発足
−中略―
施政方針演説は、1)生活者・消費者が主役となる社会を実現する「国民本位の行財政への転換」、2)国民が安心して生活できる「社会保障制度の確 立と安全の確保」、3)国民が豊かさを実感できる「活力ある経済社会の構築」、4)地球規模の課題の解決に積極的に取り組む「平和協力国家日本の実現」、 5)地球温暖化対策と経済成長を同時に実現する「低炭素社会への転換」──の5つの基本方針で構成。
国民本位の行財政への転換では「食品表示の偽装問題への対応など、各省庁縦割りになっている消費者行政を統一的・一元的に推進するための、強い権限を持つ新組織を発足させる。併せて消費者行政担当大臣を常設する」と表明。新組織を「国民の意見や苦情の窓口となり、政策に直結させ、消費者を主役とする政府の舵取り役」と位置づけ、消費者行政の転換を図る方針を打ち出した。すでに検討を開始しており、なるべく早期に具体像を固める方針だ。」(ロイター 2008年 01月 18日 15:07 JS)
さて、まず消費者行政の一元化とは何かを見てみよう。
「中国製冷凍ギョーザ問題」が発生し、この対応で連日様々な報道がされていることは、皆様もご存知のことと思う。
その中で、行政の対応の悪さには、驚くべきものがある。
次の報道記事では、いかに東京都、品川区、市川市、高砂市、警察当局という多くの行政が関係し、お互いに責任のない行動を取っていたかが理解できるのである。
「今回の中国製冷凍ギョーザの問題では、関係機関の情報がうまく集約されず、対応の遅れにつながったことが明らかになってきた。
東京都や品川区によると、兵庫県高砂市で1月5日、JTFが中国から輸入した冷凍ギョーザを食べた家族3人が、有機リン中毒を疑わせる症状を発症しているとの連絡が、同7日に同県から都に寄せられた。
都はこの情報を、JTFの本社がある品川区に伝えて調査を要請し、同区保健センター職員がJTFの食品管理室に電話で聞き取り調査を行った。
その際、JTFからは、〈1〉2007年6月、消費者から「ギョーザを食べて体調不良になった」との電話が、JTFの販売店にあった〈2〉同年8月、居酒屋から「ギョーザを食べた客が味がおかしくて吐いた。下痢もしている」と届け出があった――ことが報告された。品川区の担当者は都にもこの情報を 伝え、兵庫県にも連絡された。
しかし、行政側が兵庫県のケースとこの2件を、結びつけて対応を取ることはなかった。その後、22日には、中国の同じ工場で製造されたギョーザを 食べた千葉県市川市の家族5人が、吐き気や下痢の症状で病院へ搬送される事故が発生。都と品川区は30日になってJTFに立ち入り調査に入り、警察当局や JTなども事実を発表した。
一方、都は31日、7日に兵庫県から連絡を受け、品川区側に調査を依頼した際、農薬中毒症状を示す書類を誤ってファクスしていなかったことを明ら かにした。都は食中毒が起きた状況などを示した4枚の報告書をファクスで受け取り、同区保健センターにJTFへの調査を要請するとともに、この報告書もファクスした。
しかし、「患者の血中コリンエステラーゼ活性が低くなっている縮瞳(しゅくどう)もみられる」と、農薬中毒を疑わせる症状を記載した4枚目の報告書を送らず、誤って問題の商品の写真を送付してしまったという。」(2008年2月1日06時54分 読売新聞)
首相官邸は対策をとるため、内閣府国民生活局を各省庁の「司令塔」に指名したが、対応が進まないという。
「今回の事件で首相官邸は、内閣府国民生活局を各省庁の「司令塔」に指名、岸田氏を関係閣僚会議のまとめ役とした。消費者行政の一元化を念頭に置いた措置だ。
これを受け、国民生活局は1日に関係府省連絡会議を開催し、輸入食品に関する業界団体に製造、加工、流通の各段階における有害物質混入防止体制の確認を要請することを決めた。
だが、「国民生活局は関係各省を呼んで、いろいろな指示をすることに慣れていない」(政府高官)というありさまで、中国製毒入りギョーザに関する「関係団体」のリストアップは難航。要請文の内容もなかなか結論が出ず、124団体に要請文をファクスで送付したのは結局、1日の深夜になった。
その上、2、3両日は週末で、「業者への電話確認は数が多すぎて難しい。月曜日(4日)にファクスを見て気付くところもあるかもしれない」(農林水産省消費・安全局)という“お役所仕事”ぶりだ。
要請文は確認状況の報告も求めているが、確認期限については「『できるだけ早く』としか言えない」(同局)という状況。要請文の日付も1日ではなく「2日」と間違え、訂正に手間取る一幕もあった。
情報の集約には窓口の一本化が不可欠だが、厚労、農水両省のほか、食品関連企業や団体、各都道府県などが個別に相談窓口を設置したことも情報集約の遅れと混乱を招いたようだ。」(産経ニュース2008.2.3 18:14)
また、食品偽装問題であるミートホープ事件でも同様の問題が指摘されている。
「細菌や「賞味期限」「消費費期限」の問題を担当するのは、食品衛生法を所管している厚生労働省。食品表示の適正さを担当するのは「JAS法」を所管 している農林水産省。不正競争防止法に基づく規制は公正取引委員会。そして詐欺罪などを捜査できるのは、警察庁傘下の地方警察だ。
こうした問題が表面化したのがミートホープ事件だった。同事件は、中でも農林水産省にとって、インパクトの大きな事件だったと言っていいだろう。
ー中略―
ミートホープ事件は、2007年6月に、北海道加ト吉が製造販売した冷凍コロッケ「COOP牛肉コロッケ」から豚肉が検出されたもの。北海道加ト吉の調査では原材料の取り扱いに問題はなかった。そこで浮上したのが原材料を供給しているミートホープ社だった。
ミートホープ社の責任者は、北海道加ト吉に納入した牛肉のミンチに豚肉が混入していたことを報告。さらにその後、血が黒く変色しているのを補正する ためにミンチに豚の血液を注入したり、腐りかけた牛肉を細切りにしてミンチに混ぜたことも明らかになった。鳥インフルエンザ問題で値段が下落した鴨肉を買 い付けてミンチに混ぜることもあったという。違法行為は、北海道加ト吉向けのミンチだけではなかった。消費期限が過ぎているのに冷凍コロッケの消費期限の ラベルを張り替えて出荷していることも発覚した。
実はこうした事実が発覚する1年も前から、ミートホープ社の幹部が農水省に牛ミンチのサンプルを持ち込み、内部告発していた。しかし、農水省は動かなかった。早い段階から情報を入手していながら、農水省が出遅れたのは「権限」という大きな壁があったからだ。
農水省の権限は「食品表示が正しくなされているかどうか」に限定される。ところが原材料は食品表示義務がないため、農水省は手を出すことができないのである。そのため、ミートホープ事件は警察庁や厚生労働省マターとなる。
結果的には、北海道警察と苫小牧署が2007年6月に、不正競争防止法違反(虚偽表示)でミートホープを家宅捜索。10月には田中稔社長を逮捕。農水省は後手に回った。
「ミートホープは肉の加工会社。同社が北海道加ト吉に原料として納入した肉はJAS法の対象外だったので取り締まれなかった。さらにミートホープ社は北海道の会社ですが、その製品は広く全国に販売していました。北海道に居る職員だけでは対応できなかった」(農水省)」(フリーライター松崎 隆司、日経BPネット、食品偽装を契機に中央省庁の連携が進む)
福田首相は、このため施政方針演説で表明した消費者行政の一元化の政策実施を前倒しすることを指示したのである。
「福田康夫首相が「消費者行政の一元化」の検討加速を指示した。中国製冷凍ギョーザによる中毒問題で政府内の対応遅れが批判の対象となり、当面の対策とともに、態勢見直しを急ぐ必要があると判断した。官邸直属の検討会議を新設し、結論取りまとめも今春に前倒しするが、関係省庁や経済界には慎重論もくすぶる。自ら「目玉政策」と位置付ける分野だけに、首相の指導力が試される場面もありそうだ。」(日経ネット07:02)
今回は、「消費者行政の一元化」と行政の対応の非効率さを見てみた。
次回は、この問題を深く分析してみたい。
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消費者行政の一元化 中国製冷凍ギョーザ問題 ミートホープ事件 |
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